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何も知らない『えみこさん』がひどく気の毒になり、行き場のないため息をついてしまう。
「はぁ~っ。」
まるで私の心が伝わってしまったかのように、『えみこさん』もため息をついた。
そうだよね、好きな人と親友が…辛いよね。
「どうしよ…来週末の合コン、ゆな来るって言っちゃったのに~。ゆながいないと男の集まり悪くなっちゃうよー…。」
それは、ボリュームの大きな独り言だった。
…。
私は、何か想おうとしたけれどそれを放棄し、心を無にして、ミルクティーを口に含んだ。
それからふとバックからスマートフォンを取り出し、画面を付ける。
メッセージの通知が1件。
大学時代の友人からだ。
文頭の3文字に嫌な予感がしながらも、それをタッチした。
[ご報告。久しぶり!元気?先月付き合い始めた彼と結婚が決まりました!お腹には小さな命を授かっています!式の予定はこれからなので、とりあえずご報告まで。]
予感的中。
年明けに会った時は6年付き合った彼に振られたってあれだけヤケ酒してたのに…。
知り合ったばかりの人とデキ婚だなんて。
「はぁ~…」
これでまた、独身仲間が減ってしまった。
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