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昔々、ある所にとても美しい神様がいました。その神様は沢山の人間に愛されて、とても幸せに暮らしていました。
そんなある日、神様は今まで見たことの無いー人のような者に出会いました。それはボロボロに傷ついていて、辛うじて生きているようだったので、神様は連れて帰って手当をすることにしました。
しかし、神様が人間達の里を通った時、ある人間が神様に言いました。
「それは鬼です!」
口々に危険なので何処かに捨てて来て下さい、と懇願してきます。人間達は神様の事を大切に思っており、鬼が神様に危害を加えないか、心配で堪らないのです。神様にもそれは分かっています。それでも、こんなにボロボロの生き物をそのままにして置く事は出来ません。
『この鬼の傷が癒えるまで面倒を見ます。癒えれば何処か好きな所へ行くでしょう』
神様は人間達と約束しました。神様にそこまで言われた人間達は反対出来ずに、もう一つ約束をしてもらいました。
「鬼は人間の女や赤子ー子供達を食べると言います。皆、怯えるのでこの鬼を里に近づかせないでくれませんか?」
『分かりました』
神様は人間と約束を交わしました。
それから暫くして、この約束を知る人間が皆死んでしまった後、鬼は里に現れました。そして次々と人間を殺ました。人間達にはどうする事も出来ません。
『何事ですか!』
そこに神様が現れました。神様は何故この鬼が暴れているのか分かりません。鬼に尋ねても意味の分からない事を言うだけです。
『これ以上里に危害を及ぼすなら、私も戦います』
そうして神様と鬼は戦いました。
長い戦いが終わった時、生きていたのは神様の方でした。神様は鬼の遺体を弔い、鬼の仲間からの報復を恐れて身を隠しました。
『人間、お前達に力を上げます。代わりに私を守って下さい』
村人達は神様を守り、鬼の仲間と戦いました。鬼の仲間を退けた村人達は、今も神様の遺体を守っています。
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