心は楔、血は柵

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 ただ、この引越しは彼女にとっても都合のいいものだったので文句は言わなず、「大丈夫です」と答えた。叔父の方は何か言いかけたのか小さく口を開閉させて引き結んぶが、どうにも苦虫を噛み潰したような顔だ。こちらはこちらで中々懐いてくれない姪の扱いに苦慮しているようだが、そもそも今まで然程会っていなかった者とそう簡単に打ち解けられる訳がないとも分かっている。自分の都合でこんな田舎に連れてきてしまったという罪悪感も手伝って、彼は口を閉ざした。  繰り返すが、この引越しは彼女にとっても都合がいい。少女は叔父には決して言えない事情ではあるので、話す事は無い自身の秘密を抱えている。それはある意味、叔父の姉ー母の秘密でもあるのだが。
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