居眠り電車

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膝を叩く音で目が覚める。目覚めると、駅員さんが困った顔で僕を見つめている。お客さん、ここで止まりですよと言われる。止まり?腕時計を見ると7時過ぎだった。電車に乗ったのは6時台のことである。自宅の最寄り駅は会社から電車で20分くらい乗った先の駅である。ということは…かなり離れたところまで行ってしまったのではないか?ここはどこだ?  駅の看板には、『土浦駅』という文字があった。  一瞬、思考が停止した。ということはここは茨城県か!?そうか、常磐線の土浦どまりの電車に乗ったのだと一人納得する。家も会社も常磐線沿いである(ちなみに辛うじて東京都内だ)ため、下手に寝てしまったりぼーっとしたりしていると都内を突き抜け北関東めがけて突っ走ってしまうのだ。  短時間とはいえ一寝入りしたことが頭をすっきりさせたのか、徹夜明けの気持ち悪さや頭痛は影をひそめ、かわりにぐーっという腹の音が聞こえた。そういえば、昨日の夜にファミレスで食べたハンバーグセットを最後に、何も食べていない。朝飯にするかととりあえず改札口を探す。界隈にモーニングを食べられるような店があるだろうか。ホームを見る限り、田舎の単線だけの駅ではなく、複数の路線があるようである。それなりに大きい感じの駅なので、飲食店くらいあるだろう。
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