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市街地の裏通りにある緑だけがとりえの公園。
近くにある公立高校の制服を着た女子生徒と男子生徒が警察官二人に補導されていた。
「だからちげぇよ! 男同士の喧嘩に首突っ込むなって言ってんだよ!」
そう叫んでいるのは夏物の白地に紺のラインの入ったセーラー服を着たショートカットの女子生徒、関和美だ。
紺のひだスカートの下には体操着のハーフパンツをはいている。
その横で若い警察官に腕をつかまれ今にも連行されてしまいそうな男子生徒、初瀬秀忠は諦めをはらんだ笑みで空を見上げた。
制服も顔も土埃だらけでひどいありさまだ。
年配警察官が困った顔で和美に言う。
「いやね、女子高校生が男子高校生に襲われてるって通報があったの。君、関さんを襲ってきたのはこの初瀬くんなんでしょうが」
和美はいきり立った顔つきで食らいつかんとばかりに言い返す。
「違うって何回言えば分かんだよ! これは男同士の友情の喧嘩なんだよ!」
このやり取りは三回目だ。
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