Prologue. 砂の記憶

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★☆★☆  唐突だけど、皆さんはサンドアニメーションというのを、知っていますか。  光を淡く透過させる、すりガラスのようなキャンバスに砂の模様を描き、その下から撮影すると幻想的な絵が浮かび上がる、という仕組みを利用したアニメーションのことを言います。  私がいた場所は、そんなサンドアニメーションのごとく、砂が敷き詰められたかのような暗いところでした。どうしてこんな場所にいるのかも、私が何者だったのかも、分かりません。ただふわふわと、体が軽くて、少しひんやりした、水の流れに身を任せていることだけは感じ取れるのです。
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