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オーダーメイドの客は、真結より一つ上、高校二年生の女子だった。
名前は里中由梨。都内の有名進学校に通っている。
話の内容は、陸の予想どおり勉強のことで、最近伸び悩んでいる成績を上げたいということだった。どうしても行きたい大学がある。それにはもっと成績を上げる必要がある。
しかし、それはあくまで顕在意識であり、潜在意識、心の奥底の願いとは一致していなかった。
「姉に負けたくない。自分を見てほしい。愛してほしい」
空が読み取った潜在意識を伝えると、陸が話をそちらへと誘導していく。
「お姉さんに対するコンプレックス……か」
真結がポツリと呟くと、空はソファの背にもたれかかり、前髪を払った。
整った顔が露わとなり、真結の心臓がドキリと跳ねる。
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