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「え!? なんで真結ちゃんのお兄さんと海が一緒にいるんだ??」
陸が何度もまばたきしながら問うと、海は小さく肩を竦める。
「店の前で入りづらそうにしてるから声をかけたの。そうしたら真結ちゃんのお兄さんだっていうし、遠慮せずに入ってくださいって言ったんだけど、どうにも煮え切らなくて。何かあるんだろうなって思ったから、さっきまで家の方で色々と話を聞いてたの。諸々の事情は全て把握済みよ」
「なんだよ、それ……」
陸がそっと手を額に当てる。海は幸成側から話を聞いていたとは。
「真結ちゃん、お兄さんとちゃんと話した方がいいわ。お兄さんはあなたの本当の気持ちを知りたいと思っている」
「……」
幸成がここへ再び訪れたということは、そういうことなのだろう。皆に話すことで気持ちに一段落がついた今、幸成と向き合う時がやってきたのだと思う。
しかし、咄嗟に返事ができなくて俯いてしまう。そんな真結に、空が声をかけた。
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