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休憩室には、表面上は幸成と真結を残し、誰もいなくなる。真結の向かいに腰を下ろした幸成は、落ち着かないのか辺りをキョロキョロと見渡していた。その様子をしばらく眺めた後、真結は口を開く。
「お兄ちゃん……」
その瞬間、幸成が真結を見る。そして二人の視線が重なり合った時、同時に声を発した。
「ごめんなさい!」
「ごめん!」
全く同じタイミングで謝り、頭を下げていた。真結がそっと顔を上げると、幸成も同じように顔を上げている。そして、再び目が合った。
「……参ったな」
「同じことしてる」
血は繋がっていないというのに、まるで本当の兄妹のように同じ動きをしている。それは、これまで積み上げてきた時間がなせるわざだろう。一緒に過ごしてきた月日がそうさせた。
真結はおかしくなってきて、肩を震わせる。
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