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「一流企業……って自分で言うのもどうかと思うけど、まぁそういった会社に勤めている男と結婚して、優雅に暮らしたいっていう気持ちが強くあったらしい。千勢は……ずっと欲しいものを我慢して過ごしてきたみたいだから」
「……そうなんだ」
「別にうちだってそんなに裕福じゃないし、俺も一応そういった会社に勤めてはいるけど、そんなに思うほど贅沢はさせてやれなかったと思うんだけどな。でも、そこまではわからなかったんだと思う。そして、俺もそんな千勢の気持ちを見抜けなかった。ずっと……俺自身を愛してくれているんだと思ってた」
寂しげに笑う幸成を見て、胸がズキンと痛んだ。兄も、傷ついていたのだ。
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