(2)ツナガリ

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「なかなかそれを受け入れられなくて、そのせいで真結が何か考え込んでいるのはわかっていたのに、何も言ってやれなかった。やっと受け入れて千勢と別れた時には、お前は家を出る決意をしていた。……言い出したら聞かないからな、真結は。親父もお袋も俺も、止められなかった。もしかして、お前は本当のことを知ってしまったんじゃないかって何度も思った。でもそれをこっちから切り出すと、お前がもし知らなかった場合取り返しがつかなくなる」 「……うん。そう思ったから、無理には引き止めないだろうって思ったの」  家を出たいと言った時、城央大附属に通いたいが実家からは遠いので寮に入りたいと理由をつけた。もちろん、どうしてそこを選んだのかも説明した。将来を真剣に考え、導き出した結論だと、皆を納得させた。  その上で下手に反対などすれば、まだ知らせたくない秘密がバレてしまう恐れがある。そのリスクは是が非でも回避するだろう。真結はそこまで読んでいた。
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