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「じゃ、行こう」
クルリを向きを変え、空がスタスタと歩き出したので、慌てて真結もそれについていく。
わざわざ待っていてくれたのだろうか、とふと思った。同じクラスなので、真結が寮生であることは空も知っているはずだ。そして、椿寮へは裏門から出るのが近道だということも。
そっと空を見遣るが、ぼんやりとした表情からは何も読み取れない。
せっかくこんなに整った顔立ちをしているのに、少し勿体ないなと思う。もう少し愛想よくすれば、空の周りには人だかりができるだろうに。
そんな様子を想像し、真結は思わず笑いそうになってしまった。ここまでになると、もう空ではなくなってしまう。
「何か面白い?」
急に尋ねられ、真結はビクッと身体を震わせた。まさかこちらを気にしているとは思わず、真結はあたふたと狼狽えてしまう。
「え、いや、あの、うん……」
と訳のわからない返事をすると、空はきょとんとした顔をした。しかしすぐに気を取り直して前を向く。
細かいことは気にしないのか、全く興味がないのか、どちらにしても変に追究されなくてよかったと、真結は胸を撫で下ろした。
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