(1)ココロノオクソコ

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「青柳君ってビックリ箱みたいだね」 「なんやねん、それ」 「出た!」 「出せって言うから出しただけ」 「そんなこと言ってないし」 「無言で訴えてた」 「……心、読んだ?」 「そんなの、読むまでもない」  空の言うとおりだ。  空が関西人だと知った瞬間、関西弁を聞いてみたいと思ったし、それが顔に出ていたのだろう。  顕在意識についてはぼんやりとしかわからないという空でも、この程度のことをわからないはずがない。  素っ気ない口調のせいで冷たいとかクールだと思いがちだが、実はそうでもなく、ノリがいいのかもしれない。  もっともっと空の人格を引き出してみたい。  空の後をついて行きながら、真結はそんなことを考えていた。
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