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「陸さんは……見えないのに彼らの存在を信じてるんですか?」
普通なら、こんな話はとても信じられないだろう。姿を目にすることができる真結でさえ、最初は信じられなかった。
空が一瞬にして彼らを目の前に見せなければ、今も信じていないかもしれない。
それなのに、彼らの姿を見ることができない陸が、空の話だけで彼らの存在を信じられるのはどうしてなのだろうか。
「空の言うことだからね」
「え……それだけ?」
「うん。それだけ」
陸の表情は穏やかで優しい。その顔を見るだけで、陸が無条件に空のことを信頼していることが見て取れた。
空と陸がどのような出会いを経て、これまでの時間を一緒に過ごしてきたのか、真結は無性に知りたくなった。
二人を近くで見ていれば、それを知ることができるだろうか。
「そういえば、名前も対みたいで面白いですね。空と陸。何だか示しを合わせたみたい」
すると、陸が「いいところに気が付いたね」と言って、悪戯っ子のような笑みを浮かべた。
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