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「飲み込まれるな」
「え?」
気付くと、空の顔がすぐ近くにある。
「うわっ!」
「客の潜在意識に引きずられるな。自分と切り離しておかないと、飲み込まれる」
「……」
自分は由梨の潜在意識に引きずられていたのだろうか。……よくわからない。
しかし、人の負の感情に触れるというのは思った以上にきつい。
「青柳君はすごいね」
「……何が?」
一体何がすごいんだと言わんばかりの表情に、真結はこんな時だというのに笑ってしまいそうになる。
普通じゃない状況を普通にしてしまっている空といると、これが普通なのかもしれないと勘違いしそうだ。
「自分のサトリ能力を活かして、それで人の役に立ってる」
「……役に立っているかはわからないけど」
「立ってるよ」
同じ特殊能力を持つ者同士なのにと、そう思わずにいられない。
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