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普段、何の影響もないから気にしていないつもりだった。それでも、人とは違う自分の特殊な能力が何なのか、ずっと知りたかった。
どうしてこんな能力があるのか。これは必要なのか。これで何をしろというのか。
個性などと呼べないこのおかしな能力を、絶えず持て余していた。
その能力を今初めて認めてもらえたような気がして、真結は嬉しいような、少し照れくさいような、そんな気持ちになった。
「ありがとう……」
恥ずかしさを隠すようにポソッと呟くと、空が視線だけこちらに寄越す。
「お礼を言うのはこっちだと思うけど。楽させてもらってるの、俺だし」
「……」
本当にそう思っているのか、実は気を遣っているのか、空の表情からは何も読み取れない。
「陸さん、由梨さんにどんな石を勧めるんだろう?」
気を取り直して話題を変えると、空は少し考え込み、何種類かの石を挙げた。
「……まず、アマゾナイトだろうな。それに、クォーツとかアメシスト……」
「アマゾナイト?」
空は携帯を取り出し、ネットでアマゾナイトの写真を出して真結に見せる。
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