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由梨が帰った後、スタッフルームから憔悴して出てきた真結に、陸が優しく笑う。
「その様子じゃ、存分に力を発揮したみたいだね」
「……自分じゃよくわからないんです」
意識して能力を発動させている訳ではないので、真結には自分が及ぼす影響というものがわからない。
しかし、人の潜在意識など読み取れない真結に、あれだけはっきりと心の声が聞こえたのだ。おそらく力を発揮していたのだろう。
「空の言葉も、いつもより自信があってわかりやすかった」
いつもの空は、もう少し曖昧な言葉を使うらしい。空も言っていたが、集中しないと顕在意識と潜在意識がぐちゃぐちゃに混ざってしまうこともあり、明確にはわからないことがある。
いくら心が読めるとはいえ、それが本当に正しいかどうかは判断のしようがなく、自然と表現も曖昧になってしまうとのことだった。
しかし、今日は空がはっきりと断言してくれたおかげで、自信を持って最適な石を勧められたと、陸はしきりに真結に感謝した。
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