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「そうだね。それじゃ、私は帰るね」
「空、もうあがっていいから真結ちゃんを送ってあげて」
「え!? いえ、大丈夫ですよ!」
一人で帰るつもりだった真結が慌てていると、空が部屋の奥から荷物を持って戻ってくる。もうすっかり帰る気でいるようだ。
「早くあがれるからってはりきりすぎじゃない? それとも、真結ちゃんと一緒に帰れるのが嬉しい?」
からかい口調の陸に、真結は頬を染め、思わず咳き込む。しかし、肝心の空は「どっちでもいい」と涼しい顔だ。
「本当にからかい甲斐ないな! 可愛くない!!」
「男が可愛くてどうするんだ。じゃあ、お疲れ様」
どっちが年上だかわからないような二人の関係がおかしくて、真結はクスクス笑いながら、不満そうな表情の陸に挨拶し、先に歩き出していた空を追いかけた。
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