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「もしかして……」
真結が呟くと、空が真結の顔をじっと見る。「何かあるなら言ってみろ」と促すような空の表情に、真結は不安げな顔で訴えた。
「部外者の私が聞いてたの、バレたのかな!?」
もしくは、空が陸に助言していたのがわかってしまったのか。
空は部外者ではないが、由梨からすると、陸以外に話を聞かれることは盗み聞きされるようなもので、決していい気持ちはしないだろう。
「そんな訳ないだろ」
「だって……」
「イヤホンやマイクをしてたって、店員同士で連絡を取るためだと思うだろうし、別の人間が別の場所で聞いてるなんて、普通想像もしない」
「それはそうだけど」
真結は小さく頭を振って、冷静になろうと努めた。
仮にそのことに気付いたとすれば、その場ですぐに指摘していたはずだ。二日後にクレームというのはおかしい。
「本人に話を聞くまでわからない。対応は陸に任せていればいい」
「うん……」
わからないうちにあれこれ考えても仕方がない。真結は不安な気持ちを払うように、急ぎ足の空に必死についていった。
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