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貴族の子息として、ノエルは三男でありながらも厳しくしつけられた。
両親の方針で、外の世界との交流を遮断され、幼少時の殆どを田舎邸で過ごしていた。
衣食住に困ることはなかったが、息の詰まる生活を思い出すと今でも気分が滅入る。
そんな生活の中で、唯一の癒しがいとこのオデットと過ごす時間だった。
まるでお伽噺から出てきたような、美しく清らかな少女に幼いながらも恋い焦がれた。
彼女が国を離れるまで、ノエルは自分の想いを口にすることはなかった。
もしも気持ちを伝えたとしても、彼女は思いに答えてくれない。
それどころか、心地の良い関係が崩れてしまうかもしれない。
容易に想像できる未来に、しり込みしたのだ。
けれど、叶わぬ恋心は彼女の訃報と共にあふれ出した。
あの時は、混乱しながらも自分の中にこんなにも激しい思いが隠れていることに驚いた。
伝えることもできないまま、心に潜んだ愛は知らないうちに膨れ上がっていたのだ。
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