番外編【フランス貴族ノエルの調査記録】

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ノエルは先日訪れたパブの前で、深呼吸した。 「よし……!」   気合を入れて扉を開けた瞬間、むせ返る酒の匂いに気絶しそうになる。   警察たちが厳重体制で見回りをしているというのに、パブは酒を飲む人たちであふれかえっていた。   煙草と質の悪いアルコールと、安っぽい香水の匂いの入り乱れる中に足を踏み入れる。 重なりあうように押し合う男女の波にもまれながら、やっとカウンターにたどり着いた。 (し、死ぬかと思った。……ルイス君はあんなに簡単に歩いていたのに)   そこまで考えると、ノエルは思い切り頭を振った。 「ルイス君はルイス君だ。あの人はもう、関係ない」   自分にそう言い聞かせて呟いた。 気合を入れなおして、顔をあげる。 とたんに女性の顔が目の前に迫り、体がのけ反った。
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