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「――ふざけてんのか、てめぇ。それとも、酔っぱらってんのか?」
「いいえ、大真面目ですよ。アンタに従う奴はみんな馬鹿だ。アンタには王宮よりも、独房がお似合いだ。そうやって虚勢を張っていられるのも、今のうちっ――」
その時だ。
カウンターに勢いよく叩きつけられたボトルが、粉々に砕け散った。
一瞬にして、パブに不穏な空気が渦巻き始める。
どうやら、ハミルトンにとって触れてはいけない一線を越えてしまったようだ。
「殺してやる……ぶち殺してやる!」
ハミルトンは猛然と叫んだ。
それと同時に、ノエルの顔面に衝撃が走る。
脳を揺さぶられる感覚がしたと同時に、体が左へ吹っ飛ばされた。
「うがっ……」
床に倒れ込んだノエルは、頭を強く打ちつけた。
あまりの衝撃に目の前が白んでいく。
徐々に意識が遠のく中、脳裏に思い描いたのは愛しいオデットの微笑みだった。
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