渡辺ヒツジ登場回及びナタリアゼロ化回

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-前回までのあらすじ- 七つの大罪との戦闘は幾度か起こり、その中の一体〈色欲(ラスト)〉はオガユウの携帯の中に封印された。対して連続誘拐事件は留まることなく、遂にユウキ達の学校も臨時閉鎖となる。対策室は、〈世界の穴〉発生場所と誘拐事件が起こった場所が同じことに気付く。一方、未だ制御解除が出来ないユウキと、放出量の問題でゼロ化不可能と言われていたナタリア。それでも毎日のように続く戦闘をこなしていた。そんなある日、ガスマスクを付けた謎の少女が言語世界に現れる。彼女は『私が誘拐事件の犯人だ』と名乗るのだった。 ▽ 「おい。こんな事件、今まであったか?」 「いえ。僕の知る限りでは、これは異常です」 警視庁内のある会議室。ヒソヒソと話す刑事達。 モニターに映し出されるのは元気な子供達。 映像電話で彼らと話すのは、会議室に集まった彼らの両親。 「誘拐された子供達と、親が楽しく映像通話って......」 既に数百人の子供が誘拐されたこの事件。大きな特徴は 一つ。事件発生が日本全域に及ぶこと。北海道で起きたと思えば、数時間後に沖縄で起きたりもする。故に警察は多数犯と見ている。 二つ。一日の誘拐で十人の子供が誘拐され、十人の子供が解放されること。一週間に一回程度起こるこの誘拐事件は、子供達を三週間しか誘拐しない。三週間経つと古い十人の子供が返され、新たに十人の子供が誘拐される。 三つ。何の要求もないこと。ただ誘拐し、何もせず返す。子供達の心身に異常はないし、むしろ大半が「楽しかった」と笑う。それどころか、休んでいる間の学校代わりも務めているようだった。 「異常だろう。結局犯人(ホシ)は何をしたいんだ」 「今では、誘拐してほしいと言いだす親まで出てきてるとか......」 ネットでは『修学旅行犯』や『家庭教師。三週間で成績アップ』などと囃し立てられている犯人。 世間が犯人にそれほど怒りや恐怖を覚えていない理由の一つに、今目の前で開かれている映像通話がある。 インターネットからいつでも見れる誘拐先の定点カメラに加え、毎日一時間、誘拐された子供達と話すことができる。 「ここまでされているというのに、まだ場所すらわからないとはな......」 電話も映像もあるが、軟禁場所だけは一切の情報がなかった。 まるで世界が違うかのように(・・・・・・・・・・・・・)、全ての探知にエラーがでる。
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