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「何がしたいんだ、何処にいるんだ、何者なんだ。俺たちは、何もわかってねぇじゃねぇか......!」
悔しそうに、壁を叩いた。
▽
「いやぁ、いきなりそんなこと言われても信じられないんだけど」
戦闘終了後、離れた瓦礫の丘に現れた一人の少女にミコトは笑う。
長いストレートの髪の少女は、その顔に大きな黒いガスマスクを付けていた。
「証拠なら」
パーカーのポケットに突っ込んでいた両手の内、右手をゆっくりとあげる。
手には一羽の折り鶴が乗っていた。
それを軽く真横に投げる。
すると、地に落ちる前に折り鶴が爆発。
さらにその爆発は、炎を上げて、世界に穴を開けた。
「なっ......!」
灰色の世界に、色彩豊かな元世界の風景が混じる。
それは、今まで何度も閉じてきた〈世界の穴〉だった。
「司令が言っていた。連続誘拐事件は、〈世界の穴〉発生と関係があるかもしれないと。まさか、穴はこいつが開けていたのか!」
スズリが唸る。
アレは人為的に、さらに犯罪のために作られたものだったのか。
「そんな......」
何よりショックを受けていたのは、ナタリアだった。
両親を〈世界の穴〉で亡くしている。
「貴女が、全部作ったの?」
「......ええ、そう」
僅かな間を開け、少女は肯定する。
長い沈黙。
それを破ったのは、少女の後ろから出てきた四人の子供達の一人。
「おいおい。今日は挨拶だけのはずだろ?」
ニィと笑う彼は、腕を組んでこちらを見下ろした。
「こいつらがキャスターか!こいつら全員倒してもいいか?なぁ?」
「はぁ、野蛮だわ。どうしてこんな愚民と共に戦わなければならないのかしら」
隣の縦巻きロールの少女が首を振って言った。
「まったく五月蝿いぞお前ら。初めての顔合わせなんだもっと礼儀正しくしろ。なぁエン?」
そう叱った丸刈りの少年。
「......ん」
首を小さく縦に振り肯定した、前髪で目を隠したおとなしい少女。
「なんか言ったかクルクルパーマ!」「これはパーマではないと言っているでしょう!?」と騒がしい二人を無視して、ガスマスクの少女が言う。
「......我ら〈Demi Caster 5〉。貴方達を、誘拐しに来ました」
「ちょっと!?我らDC5はみんなで言おうって約束でしょ!?」「ずっりぃ!決め台詞独り占めしやがった!」
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