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「誘拐開始」
少女は号令と共に、紙飛行機をこちらへ投げた。
スゥと滑空する紙飛行機は並んだオレ達の中心まで空を滑り、
爆発した。
「うわぁっ!?」
全身を撃つ衝撃。吹き飛ぶ。
地面を転がり顔を上げると、爆発した地点はクレーターになり、皆同じように倒れている。
気づいた。DC5がいない。
「気をつけて!来るよ!」
叫ぶと同時、視界の端に紙飛行機。
大きく跳躍。先程よりは爆発の威力は弱かったが、それでも十分戦闘不能になる威力だった。
黒煙の中から、ガスマスクの少女。
既に右手には新たな紙飛行機。
落ち着いた、余裕のある戦闘だった。
「はぁっ!!」
拳に作った炎の球を撃ち出す。
高速で彼女に向かっていったそれは、しかし手前で大きく軌道を手前に逸らした。
「なに!?」
的外れの地面に着弾した炎球が燃え上がる。
その炎の中を、ゆっくりと歩いてくる少女。
まるで炎が彼女を避けるようだった。
紙飛行機が、発進する。
▽
「ほらほらぁ!どうしたぁ!?」
攻め来るレベル4を捌きながら、高笑いする一条の声をコトハは聞いていた。
「俺の能力〈命令〉は、誰かを操ることができる!やろうと思えば、人間だって操れるんだぜ!」
ゲームのリモコンの様なものを握りながら言った。
「......ふん!気味の悪い能力やな」
そう返したコトハの額に冷汗。
──こいつ、強い!
▽
「斬り伏せる」
刀を生み出し、スズリは三ノ宮へと突撃する。
「あら、美しい刀ですわね」
もちろんスズリは刀身をゴム化していた。
──それでも、制圧はできる。
三ノ宮の周囲に、シャボン玉の様な膜ができた。
彼女をすっぽりと包んだそれを、まずは両断せんと生み出した本物のナイフ。
彼女に向かって軽く投擲。
どんな能力かはわからないが、このくらいの攻撃はあの膜に防がれると思っていた。
しかし、ナイフは膜を擦り抜け、一直線へ三ノ宮の胸元へと向かっていく。
「まずい!」
焦り叫んだスズリ。彼女を傷つけるつもりはなかった。
が、ナイフは三ノ宮の胸にポヨンと衝突すると、跳ね返り、刺さることなく落下した。
ふふふ。と笑い、彼女はナイフを拾い上げる。
そのナイフは、彼女の周りと同じ膜に覆われていた。
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