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「さようなら。また会いましょう。あ、あと穴を塞ぐ技術はこちらも持ちましたので」
後ろに折り鶴を投げ、爆破。
穴を軽く跳んで抜けた彼女は、穴の向こう側でもう一礼すると、もう一つ折り紙を投げた。後でコトハに聞くと、亀の折り紙だったらしい。
気づいた。穴を跳んで抜ける時、少女のポケットから髪が一枚落ちた。
亀の折り紙が爆発。
時間が巻き戻るかの様に穴が閉じていく。
「ま、待て......!」
衝撃で体が痺れ、まだ立てない。
世界の向こう側に消えていく彼女を、ただ見ることしかできなかった。
▽
なんとか立ち上がった時、スズリが駆けて来た。
「ユウキ。大丈夫か?」
「なんとか......。それより、ナタリアが!」
コトハ、ミコトも合流する。
「もう本部は動いてくれているらしい。あと」
ミコトは、今ではもうなかなか見ないインスタントカメラを取り出した。
「DC5全員の顔は抑えてある。捕まるのも時間の問題だよ」
「でも心配や......早よ迎えに行ってあげな」
急いで本部に戻ろうと頷き合い、走り出した刹那、
「おーい!」
聞き慣れた少女の声が聞こえた。
視線を向けると、遠くから走ってくるナタリア。
「ナ、ナタリア!?」
ナタリアを抱きとめたコトハが問う。
「なんで無事なん?てっきり攫われた思って」
「うん!大丈夫だった!ごめんね心配かけて」
あれは嘘だったのだろうか。不安は残ったが、とりあえずはナタリアの無事にホッと胸を撫で下ろした。
▽
某所。
遅れてやって来た二階堂を待っていたDC5の面々。
「「逃したぁ!?」」
一条と三ノ宮の驚愕の声が響く。
二階堂はナタリアを捕まえたのに、逃したと言うのだ。
「問題なば。待ち合わせしとるべ」
「「待ち合わせしたぁ!?」」
再び二人が叫び、こいつ馬鹿だなと言ったような顔になる。
「あのですね?誘拐犯に、後で来てって言われて誰がノコノコ行きます?」
「脅してるわけじゃないんだろ?来るわけねぇじゃん!」
責める二人に、首を横に振る二階堂。
「来る。ワシら、友達じゃけん」
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