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そして今、新たな問題ができた。
名前を付けてって言われたけど、私には絶望的にセンスがない。
名前なんてそう簡単に思いつかない。
・・・どうしよう。
ちらっと“猫”を見てみると、目をキラキラと輝かせた“猫”と目が合った。
そんな期待に満ちた表情で見られても・・・。
・・・うーん。
あ、そうだ。“猫”を見てれば何か思いつくかもしれない。
じーっと“猫”を観察する。
黒い耳と黒いしっぽが目に入る。
そう言えば黒猫だって言ってたっけ。
だったらもう単純に・・・
「・・・クロ」
単純すぎたような気がするけど、考えたところで変な名前しか浮かばないだろうから、これでいいか。
「それが僕の名前?」
“猫”──クロがしっぽをブンブンと振って、私の横まで来た。
「これでいいの?」
嫌だって言われても他に考えられないけど、一応聞いてみる。
でも、聞く必要はなかった。
顔を見ればYESかNOかなんてすぐにわかる。
「もちろん!あきにゃんが付けてくれた名前なら何でもいいよ!!」
クロはとびっきりの笑顔でそう言った。
「気に入ってくれたなら、よかった。」
クロの幸せそうな顔を見ていると、こっちまで嬉しくなってくる。
私も自然と笑顔になっていた。
──こんな楽しい時間がずっと続けばいい。
そう思った。
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