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義父むす
シングルマザーの彼女と結婚するまで、小学校の運動会がこんなに過酷だとは知らなかった。
3年前、息子となった少年が3年生の時は要領がわからず、場所取りに失敗した。
2年前は早起きして校門に並んだが、開門と同時に保護者がダッシュする、阿鼻叫喚の状況に唖然としていたら、出遅れてしまった――。
去年は場所をキープできたものの、欲張り過ぎた。デジカメとビデオカメラでリレーに出る息子の雄姿を収めようと思っていたのに、応援に夢中になってしまい、静止画も動画もブレブレだった。
でも、今年の俺は一味違う。
会社を休んで保護者参観にも行くようにして、ママ友・パパ友もゲットした。場所取りはもちろん、お互いの子どもを撮り合い、不測の事態に備えることにした。
なのに。
「運動会、来ないでよ、恥ずかしいから」
自分が小6の時を振り返ってみれば、息子がそう言うのもわかる。でも、今回だけは引くわけにはいかなかった。
「行くよ。最後の運動会なんだから」
「母さんなんて、一回も来たことないのに」
妻は母親である自分が好きではないらしい。恋多き女で、俺だって3番目だか4番目だかの夫だ。
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