57人が本棚に入れています
本棚に追加
携帯は解約せずにそのままにしておいたのは…ほんの少しの未練。
LINEに何度も何度も連絡が入るが、全てスルーした。
4月に入っても5月に入っても連絡が来ていたが6月になりパタリとやんだ。
やっと諦めてくれたんだろうか?と思いつつも少しの寂しさを感じてはいた。
そして、今日。7月7日。
オレと北斗の19回目の誕生日。
親にも内緒で1日だけの帰省。
花火が…あの北斗七星の花火が見たくて…。
鉢合わせしないようにいつもの祠へは行かない。
いつかの誕生日の時に言ったことがある。
「もし大きくなって、この大木に乗れなくなったら次は…」
結果的にオレが高校卒業するまでは乗ってもビクともしない巨木だったからその場所へは行ったことはなかった。
北斗と離れ離れになって、花火を見ることがあるのなら、その時はそこで見ようと決めていた。
電車から降りて、家には行かずにそこへ向かう。
オレたちの通っていた小学校の非常階段へ。
そこから中途半端の長さ垂れ下がっている梯子を登り、屋上へと向う。
通っていた時は背が低くて手が届かなかった梯子。
今ならこんなに簡単に手が届く。
「よいしょ」
最後の一段を登りきり、屋上を見渡す。
あたりはもう真っ暗で…月明かりだけがオレを照らしてくれる。
最初のコメントを投稿しよう!