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ふと…。
ドンッと音がして花火が始まった。
「うわ。大っきい」
体中に響き渡る音に小さい時は怖くて泣いて北斗がずっと抱きしめてくれたんだっけ?
にこにこマークの花火の時は2人で擽りあって、2人して木の上から落ちたんだよな。
「あの時はこっぴどく母さん達に怒られたよなぁ」
思い出しクスクス笑う。
ハート型の花火の時はなんだか少し恥ずかしくて…。
「好きな人が出来たらお互い言い合おうなって…」
言えるわけないのに。
好きな人は…北斗はいつもそばにいたから…。
柳のように垂れてくる花火は…
「なんだか泣いてるみたいだなって…言ったんだよな…」
1つ1つの花火に想い出がいっぱいで…。
目からポロリと涙が零れ落ちる。
そして…最後の…北斗七星の花火──。
「ふっ……会いたい。北斗に会いたいよ!!」
零れ落ちる涙もそのままに花火に負けない声を出す。
瞬間──。
グイッと引っ張られて抱きしめられる。
な、何?
離れようと身動ぎしようとしたら、ふと薫ってくる懐かしい匂い。
「やっと…言ったな?会いたいって」
鼓膜を震わすのは間違いなく北斗の声で──。
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