◯◯を外してきました

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「昨日何処に居たのかは、後で聞く。シャワーでも浴びて目を覚まして来いよ」 その場で問いただされなかったことにほっとしながら、風呂場へと向かう。 昨日よりも光沢を失ったように見える、皺が寄ったベージュゴールドのドレスを脱ぎ捨てて、熱いシャワーを浴びた。 シャワーを浴びながら、鏡を見る。 首筋、肩、胸元……あぁ、背中もチェックしないと。 一通り身体を見回して、何も『痕跡』が残っていなかったことに安堵した。 着替えてリビングに戻る。 「おかえりなさい!ママ!」 ダダッと走り寄って来る小さな存在に、胸がちょっとだけ痛んだ。 「ただいま……(かける)」 そう。私は朝帰りなんてしてはいけなかったのだ。 「ねぇ、ママきのうはどこにいってたのー?」 無邪気に翔が私に聞いてくる。 「ママはね、ちょっと『羽目』を外して来たんだよ。なぁ?」 さっきから嫌味ばかりを口にするこの人は、私の夫だ。 「『ハメ』って、なぁにー?」 意味を聞かれて苦笑いする。 翔くん。あなたのママは…… 羽目どころか……たがも外れちゃったの。 柏谷 (かしわや)( あかね) 33歳。 旦那と子どもがいる身で、男と一晩過ごして朝帰りをしてしまいました。
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