またまた質問です。

50/57

1430人が本棚に入れています
本棚に追加
/274ページ
今まで付き合ってきた人達ですら、『離れがたい』って思った事なんて一度も無かった。 純くんと付き合っていた時は、いつこの手を離されてしまうんだろうって……そんな事ばかり考えて、自分からは手を繋ぐ事も手を伸ばす事すらできなかった。 信じられない。 ありえない。 ぐるぐると頭の片隅で、そんなフレーズが回りはじめる。 きっと、昨日から色んな事があったから、必要以上に裕介くんに甘えたくなっちゃってるんだ。 だから…… そんな訳が無い。 「……ちゃん。香織ちゃん、ストップ!」 「……えっ?あっ!わっ!」 気がついたらパンプスを履いたまま玄関を上がろうとしていた。 慌てて足だけは止めたけど、上がろうとした身体は止めることができずに前のめりになる。 倒れそうな身体を、ポスン、と裕介くんが受け止めてくれた。 「……ありがと」 「もうちょっとだから頑張って。とりあえず、靴を脱いでね」 フフッと笑いながら頭を撫でられた。 真正面から抱き締められた腕の中は温かくて、心地よくて、そのまま溶けてしまいそうになる。
/274ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1430人が本棚に入れています
本棚に追加