1425人が本棚に入れています
本棚に追加
/274ページ
裕介くんの寝室へ入るのは初めてだった。
プライベートな空間には入らない。お互いに伝え合わなくても、自然とそうしていた。
正面にはベッド、西側の窓際にはデスクと、その横に本棚がある。
余計なものは殆ど置かれていない、シンプルな部屋だった。
そこまで見渡した所で抱きすくめられ、そのまま正面にあるベッドへと押し倒された。
再び唇が重なり、裕介くんの長い指がひと纏めにした髪をゆっくりとほどいていく。
それが、まるで頑なで意地っ張りな自分の心を解していくように思えて、その優しい指先にすがるように手を伸ばした。
……指先に触れたい。
……もっと触れたい。
だから……私にも触れて。
……もっと……もっと、奥まで求めて。
……心も身体も触れたくて、触れて欲しくてたまらない。
最初のコメントを投稿しよう!