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「……何それ?心理テストか何か?」
金曜日の22時半。
居酒屋でサシで飲んでいる女が二人。
いい加減酔いも回るこんな時間なら、くだらない心理テストなんかを話し出すこともあるだろう。
でも私は真剣に話をしているのだ。
「心理テストじゃない。一週間前……私の身に起こったばっかりの話だよ」
そう言って私は運ばれてきたばかりのビールをぐいっと勢いよく喉に流し込んだ。
先週までずっと風邪を引いていた。
病み上がりの喉はまだかすかに痛みを感じる。冷たいビールの弾ける泡が、じくじくとした感触とともに喉を滑り落ちていく。
「はぁ?!あんたの彼氏って確か……」
「とーるだよ。菊井 亨(きくい とおる)。大学の時の同級生の。一ヶ月前から連絡がつきにくくなって、一週間前やっと連絡が取れるようになって、同窓会に出るって言ってたから、先週の土曜日に同窓会に行ったら……」
「行ったら……?」
「サプライズで『彼女』にプロポーズをしました」
「彼女って……あんた、プロポーズされたの!?」
「最初の質問聞いてた?亨が別の女にプロポーズしたんだよ」
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