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わたしたちは揃って姿勢を低くして、這うように手すりの前から離れた。
展望台の庭先である広場に、首をもたげた街灯がぽつぽつと辺りを照らし始めた。大きな電気スタンドの作りをしているので、下向きの明かりを受ける彼らにわたしたちの存在は見えていない。
死者はあんなに楽しそうに語らったり、車や自転車で広場に乗り付けてこない。
ここで飛び降りれば、ただの目立ちたがりのバカか、彼らの集まりに便乗して建物に不法侵入した挙句、足を踏み外したドジにしか見えない。
今日は諦める? そんな生半可な気持ちでここまでやった来たわけじゃない。最期くらい地味な恰好をやめようと、服もファッションのわかる瀬奈に選んでもらった。
彼らがいなくなるまで待つ? ちらりと視線を広場に下ろすと、敷地内には三十人を越ええていた。ああ、今度はジョギング中だったおじさんまで。
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