夜に堕ちる

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 隣に並んだ瀬奈がそっと訊ねた。 「飛び降り、やめる気になった?」  最初に実行日と場所を提案したのは彼女だった。 「嘘つき、裏切り者」 「そんなに拗ねないでよ」  これ以上、口を開いたら子供っぽい拗ねた言葉しか出てこない気がして、もう一度わたしは星の雨を振り仰いだ。  これから先、途方もない数の夜空を見たとしても、わたしを魅せたこの夜に遠く及ばないだろう。  でも、そのたびに振り返るのも、案外悪くないかもしれない。  この次の流星群は――。    訊ねようと思って、結局やめた。今はただ、眺めていたかった。  最後の星のひとしずくが、夜に堕ちるまで。
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