オサイン・アンドリウの匣(はこ) 星賀勇一郎 百物語

第一話 もう一部屋ありませんか…

私には少し霊感というものがある。
たまに感じたりする。
あなたは出張先のホテルなどで、嫌な気を感じたりする事は無いですか。

これは数年前の春、東京へ出張した時の体験です。
急な出張になり、ホテルを取ろうとしたのだが、その時期はちょうど受験シーズンでいつも泊まるホテルが取れなかったのです。
仕方なく、空き部屋のあるホテルを押さえ東京へ出張しました。

その日の仕事は気持ち悪い程すんなりと終わり、翌日の朝、もう一度確認に訪問すると言うことで客先を出ました。

その後、私は長年の付き合いである某コンピュータメーカの営業マンと会って、一緒に飯を食い少し飲みました。
少し雪がちらつく寒い日だったのを覚えています。

普段は品川駅近辺のホテルを利用するのですが、前述したようにホテルがいっぱいで、その日は東京駅から移動するホテルでした。
山手線で東京駅まで行き、場所がわからないのでタクシーに乗りホテルまでと思ったのですが、タクシーの運転手数人に聞いてもそのホテルはわからないと言われました。