第一話 もう一部屋ありませんか…

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見事にその部屋の絵の裏にも「御札」がありました。 それだけではなく、ベッドの裏にも、そして机の横の部分にも…。 いわばフルコース…。 普通は一枚だけ貼るくらいなのですが、その部屋には三枚。 そう、わかっているだけでも三枚の「御札」がありました。 既に二十二時を回っていたと思います。 その時間からホテルを変えるのは不可能でした。 しかし部屋だけでも変えて欲しい。 そう思いました。 その部屋にいると何か起こるという確信のようなものもありました。 そして逆に、三枚も貼られた「御札」の理由にも興味が湧いて来たのです。 この部屋の違和感。 まだ何かある気がしました。 椅子に座り、タバコを吸いながら部屋を見回す。 結露の始まった窓の外を見る。 隣のビルの壁しか見えないのですが、ものすごくその窓の外に違和感を感じるのです。 私はタバコを消し窓を開け、外を見ました。 私はその時、すべてを悟ったのです。
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