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第五話 タクシーの女たち
ある年の年末に近いある日、私は取引先の人たちと大阪の北新地で忘年会という名の飲み会に参加していた。
既に電車はなく、仕方なく会社までタクシーで帰る事にした。
大阪のタクシーは5000円を超えると料金が半額になる。
神戸まで深夜に走っても1万円程度で帰る事が出来るのだ。
忘年会も3次会で北新地のクラブで飲んでいた。
私は仕事が残っていたのもあり、先に出る事を断り、店を出た。
店のママと女の子が送りに出てくれて、店が呼んでくれたタクシーに乗った。
私は行先を運転手に告げると少しまどろんでいた。
夕方六時頃から始まった飲み会で既に時間は深夜の二時。
もう八時間飲みっぱなしだった。
しかも仕事が忙しく、ほとんど寝ていない状態だった。
その時間の大阪駅近辺はタクシーが二重三重に停車している。
複数車線あるのだが、実際には一車線しか使えない。
それで深夜に渋滞が起こるのだ。
その渋滞の中、私は窓の外を見た。
乗車待ちをしているタクシーがすぐ横に見える。
そのタクシーの後部座席に、赤い服の女性が乗っているのが見えた。
客を乗せているのに、なんでこのタクシーは乗車待ちをしているのだろう。
私はそう思った。
しかもそのタクシーの運転手は外に出て、同僚のタクシーの運転手とタバコを吸いながらおしゃべりをしているのだ。
まぁ…大阪だし、そんなこともあるのだろう…。
私はそう思って、混んでいる周辺を見回した。
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