歌とピアノと音楽室

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「……夢君がこうして昼休みに来はじめて,もう1年半以上も経ったのね.」 「まあ,暇してたので…….」 「……ほかに用事ないの?」 「無いし,用事あってもここに来ますよ.」 「あら,ちゃんと用事は済ませないとここに入れないわよ?」 「うぐ,わ,わかりました……」 「ふふっ」 入学してすぐ, クラスや学年全体で発生した【グループ】 そこへ1歩も踏み込めなかった俺は 見事に周りから浮いていた. 思い描いた学校生活, 見聞きしていた学校生活とは程遠い, その時の俺には,ただの生き地獄でしかなかった. 『………….』 逃げ場所を探し回り, たまたま空いていた昼下がりの音楽室へ. 『…………あ.』 『……ん? ふふ,いらっしゃい.どうかしたの?』 『あ……えっと………………………………ピアノを聞きに.』 『私の? 別にいいけど,……大したものじゃないわよ?』 『そんな事ないですよ.是非聞かせてください.』 何でもない,少しばかりの会話. 漠然とした用件で,他の領域へ踏み込んだ俺を, 先生は静かに受け入れてくれた.
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