むかしむかし、あるところにて

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「ペル!」  キュリオスの声が薄暗い聖殿の中で鋭く響いた。ペルセポネは眉間にしわを寄せ、黒紫に光る次元の歪みからなんとか逃れようともがいている。 「ペルセポネは私の妻とする。すまぬ、人間よ」  地を這うような、それでいて重い、冥界の王の声が聖殿を揺らした。冥界の王の姿は見えず、次元の歪みの奥底からその声がキュリオスへと届く。 「なぜこのような仕打ちをするのですか。私達はただ、人間として慎ましく暮らしたいだけなのです」  下半身を既に次元の歪みに引き込まれながらも、ペルセポネはその力に抗いながらそう言った。
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