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「俺は、夜剣神(やつるぎのかみ)だ」
「なっ!」
青年、夜剣神がそう名乗ると啓二、千里の二人も顔を青くした。彼は神の中でも別格とされており神を斬る神として知られている。そして、この神社は夜剣神社と言い夜剣神を祀っているのである。
「も、申し訳ありません!」
「夜剣神様とは存ぜずに無礼な行動をしてしまい」
聖羅が跪くと千里もそれに倣った。だが、啓二だけは跪かずに憎々しげに夜剣神を睨んでいる。
「そうか、あんたが。アマテラス様の名に置いてここで死んでもらう!」
「うん?アマテラスか。俺は今のあいつのことは好かんな」
「だまれ!死ね!『炎刀一閃』」
そう言いながら啓二は炎を纏った刀を振りぬき神を斬ろうとする。しかし、その刀が彼に届くことはなかった。
「哀れだな。人間、その程度で俺に刀が届くわけがないだろう?俺は剣の神でもあるんだぞ?」
啓二が放った一閃は彼に届かず啓二の刀が粉々に砕け散っていた。
「「!!!」」
この結果に聖羅と千里の二人は何もわからずに刀が粉々になったことに驚きを隠せなかった。それは、二人とも心眼を会得していて神の攻撃でも見える自信があったためだ。
「ば、ばかな!?」
啓二は絶対に通ると思っているような表情から愕然とした表情に変わった。
「はぁ、あの程度が本気で通ると思っていのか?もし、思っていたのなら、それは、神という存在を侮辱しているぞ?二度とこの社に踏み入るな、踏み入れば貴様の家ごと斬り捨てよう」
「ふ、ふざけるな!お前は人間を守るのが仕事だろう!?」
そう啓二の言う通り夜剣神は剣を司る神様であると同時に人を同じ神々から守る神ともされている。
「はぁ、そんなの決まっているだろう?お前がアマテラスからの回し者だからだ」
「!!!」
その言葉に一番に驚いたのは聖羅だった。
「社を守りし巫女よ、こいつの正体は人を欺きし神だよ」
「くっ!気づいていたか!」
啓二は姿を人の形から黒い異形の存在へと変わった。
「この社を犯そうとした貴様を許すわけにはいかん!この場で消えてもらおう」
夜剣神はそう言うと抜刀の構えをした。
チン!
その音が鳴った時にはすでに抜刀が終わり啓二だった存在との位置が変わっていた。
「ガハッ!」
異形の存在は一瞬で切り裂かれ命を散らした。
「ふぅ、ようやく終わったか。アマテラスめ!」
夜剣神は憎々しげにそう吐き捨てた。
「あの」
「うん?」
夜剣神が声の聞こえた方を向くと聖羅と千里が不安そうな表情で夜剣神を見ている。
「一体何がどうなっているのでしょうか?」
「はぁ、そうだなとりあえず社の中に入るとしようか」
夜剣神はそう言い社へ向かう。
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