プロローグ

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プロローグ

15歳ー。まさか、自分がこんなことをするはめになるとは思わなかったんだ。 私、神谷野岬は、アユウ市にある神社の一人娘だ。普段は、明美野中学に通い、それなりに楽しい生活を送っている。今日も友達の真鈴と一緒に海に来ていた。アユウ市はここら辺の地域では珍しく、海と山に囲まれていた。私は、離れた場所にいる真鈴に、「もっとこっちに来て!暑いし、一緒に水掛け合わない?楽しいよ」と声を掛けた後に呼び寄せ、水の掛け合いをして遊んだ。明美野中では、今日ようやく期末試験が終了した。更に、試験終了後に終業式があったため、明日からは夏休みだった。だから私たちを始めとする生徒は解放感に満ちており、LHRや休憩時間には夏休みにどうするかという事などを楽しく話していた。それは、私たちも例外ではなかった。そして、その最初の計画を実行すべく、帰りに海に行ったのだった。アユウ市には海と山があるとはいえ、その場所は私や真鈴の住んでいる所からは少し遠い場所にあり、電車を使って行くしかなかった。けれど私たちは、お互いの両親に連絡をして、少しなら遅くなってもいいという許可を貰っていたから安心して遊びに行けた。だけど、私は真鈴と一緒に居ると時間を忘れてしまうようで、気付いた時には夕日が沈み、周囲は既に暗くなっていた。その事に私は驚いて、急いでメールを見た。すると母親から、(いつまで遊んでるの!許可した時間も門限もとっくに過ぎてるわよ。真鈴ちゃんの両親も心配しているみたいだから、早く帰って来なさい!!)と送られて来ていた。時刻を見ると20時と表示されていた。他の市に住む人から見れば、まだ早いんじゃないかと思う人がいるかも知れない。けれど、私の住む地域では、ある言い伝えがあった。それは、「夏、日が沈む頃何かが現れる。気付かれたら遠くへ連れて行く。無事見つかるとそれは奇跡」というものだった。俗に言う神隠しってやつ。それ以外にもいくつか説話があった。だから、この時間でも怒られるのだ。私は、メールを読んだ後真鈴に「かなり遅くなった。ごめん。」と謝り、電車で自分たちの地区に帰った。そして、いつもの十字路の所で別れた。けれど、遅い時間だったから互いの両親に電話して、迎えに来てもらった。その判断は良かったのかもしれない。けれど、翌日の朝、母親からあんな事を聞いたのちに真鈴と課題をする事になるとは想像も出来なかった。
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