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異変
翌日。私が朝起きてから最初に母親から聞いたのは衝撃的な話だった。それは、同じ明美野中学に通っている男子生徒ー涼希君―が何も言わずに姿を消してしまったということだった。いつもなら必ず一声はあるはずなのに、だ。更に詳しく聞いていくと、その生徒は私たちと同じように、昨日の夜遅くまで遊んでいたようだった。けれど、流石に遅くなり過ぎたと思ったらしく、両親に、(今から帰る)と送っていた。けれど、それから3時間ほど経っても帰って来なくて、その事を心配した両親が該当のメールが送られて来たと思われる場所までGPSを辿っていったところ、そこには本人の携帯だけが残っていて、本人の姿はなかったようだった。そして、その周りにはまるでそこだけ空間が切り取られたかのような後が残っていた。彼の両親は、この市内に伝わる言い伝えを思い出し警察では手に負えないだろうと直観的に理解したようで、私の家に連絡が来たという話だった。まだ私には詳しく聞かされてはいないが、どうやら私の家であるこの神社には何か秘密があるようで、こういう類の相談が多い。その上、ここはおばあちゃんも一緒に住んでいるはずなのに会いたいと言っても会わせてはくれていない。私は、その事と今回の同級生の話、そして私に明かされていない家の秘密。これらの事を重ね合わせて考えると、私の心の中で何か嫌な予感が走った。それは、一瞬の事ではあったが。でも、この時は知らなかった。まさかもうすぐ、私がこの家の秘密と課せられた使命を教えられる事になり、この平凡ながらも楽しい日常が一変してしまうという事を。この嫌な予感が的中してしまうという事を。
その話を聞いてから数時間後、午後1時。私の家に真鈴がやって来た。私は、数時間前の嫌な予感の事などはすっかり忘れて快く向かい入れ、離れに案内した。そこに着いた後は母親に飲み物を持ってきて欲しいという旨を伝え、真鈴と一緒に課題を始めた。暫く経った頃、母親がジュースを持ってきた。私たちは、かなり集中していたようで、彼女が「飲み物あるから。」と声を掛けるまで気付かなかった。けれど、その一声で我に返った私は、「一旦、休憩しよう。」と真鈴に伝え、休憩に入った。私たちは持ち込んだお菓子を食べながら話をした。そこでの話題はやはり、同級生の事だった。そして、私たちは、「あの時、電話していてよかったね。」「ほんと、それ。もしかしたら、自分たちがそ
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