第一章

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うちの神社はかつて、封じた邪神を閉じ込める檻と言われていた。私の家系はその監視人。  ところが『邪神』は悪意ある人間に嵌められた土地神で、長らく誤解されてたと判明。  その蛇神は封印を解いた私を勝手に「嫁」扱いし、押しかけて来た。  それからまあ色々あって、仕方ないかぁと許可しちゃった今日この頃。 ☆  本日朝一番の衝撃的な光景きました。  目の前に大蛇の頭。しかも九個。  どんなホラー映画もびっくりだ。  人間、驚きすぎると声も出ないってほんとだな。てわけで私は固まっていた。  石化するのはメデューサだっけ。あれ倒すには空飛ぶ靴と姿消すマントと、裏側が鏡になってる盾が必要だ。どこにあるやら。RPGならそこらへんの宝箱開けると出てきそう。  とか、かけ離れたことを考える。  いかん、現実逃避してる場合じゃない。  犯人は分かってる。あのアホ蛇神だ。  起き上がろうとすると、体にも巻きついてた。  胴体は一つ、頭としっぽは九つ。八岐大蛇の息子なだけに、一個多い。 「寝ぼけて何するか!」  頭一つにつき一つずつ攻撃かました。  各自好きな格ゲーのコマンドを入力せよ。  九つもあると、逆にどれ使うか迷っちゃうね☆ 「ぐふう……YOU WIN」 「ボケかましてる余力あったら、そこ正座しなさい」  仁王立ちして命じる。  人型に変化した神様は大人しく正座した。  人並外れた(人じゃない)神がかった(本物)イケメンがそうする様はシュールだ。  銀髪で長身、自他ともに認める美青年(青年て年じゃない)が、あさもはよからオカンに叱られる子供です。 「何度も人の部屋入ってくるなって言ってるよね? 鍵もかけたはずよ」 「鍵なんて簡単に外せる」  神通力を犯罪に使うな。 「つーか、なんで巻きついてんのよ。絞め殺す気か。マジで食われる五秒前かと思ったわ」 「俺、蛇の性質持ってるんで寒さに弱いんだよ。最近朝晩冷え込むじゃん」 「あんた神の端くれでしょーが。神通力で部屋あっためなさいよ。人を湯たんぽにすんな」  あの状態、どう見ても捕食寸前。 「寝てたら無意識にやっちゃったんだよ。人恋しさもあったんだと思う。長年独りだったかさー、寂しくて」  たった独りで、わざと意識を残したまま閉じ込められてた蛇神。  気の毒ではあるけど、だからって。 「それっぽい言葉に騙されるか」
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