第一章

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 私は虫が大嫌いだ。小さい頃に虫系の妖に誘拐されたのがトラウマ。 「大丈夫だよ、東子」 「抱きしめてきてるのも今は許す! だから退治して!」  綺子ちゃんは冷静に、 「あたしも虫は嫌いだけど……確かにこれは異常な恐がり方ね」 「いやだああああキモイいいいい! 破片も残さず消して―!」 「はいはい、片付けるわよ」  綺子ちゃんが髪をほどいた。  あれ、シュシュに呪文が描かれてる……?  何の?  狐の耳としっぽが現れる。と同時にすさまじい妖気がほとばしった。  パニックも瞬時に治まるほどの妖気。シュシュは力を押えるアイテムだったのか。  妖も相手がケタ違いだと悟ったらしい。気圧されて震えてる。 「―――消えなさい」  妖は一瞬で炎に包まれた。  し、瞬殺。チリも残らない。 「さすがは九尾の妖狐だな」 「たいしたことないわよ、あんな雑魚。東子さんに分かるよう、わざと姿戻してみせただけ。……ああ、そうだ。これだけ量あるなら、ネットオークションよりここにひきとってもらったほうがいいわ」  チラシを出す。 「比良坂骨董店?」 「知り合いの店。いわくつきのブツを買い取ってくれるの。まだ未処理のが今後でてきても、始末もしてくれるわ。あっちもプロだから」  同業者とみた。 「あたしの紹介だって言えば、少し高めに買い取ってくれるでしょ」 「分かった。恩に着る」  九郎はチラシを折りたたんでポケットにしまった。 「手付金引いた残りの代金は後で振り込んでおく。とりあえず礼だ」  マカロンやアイシングクッキー詰め合わせを渡す。九郎お手製だ。 「あれ、狐なら油揚げじゃないの?」 「あたしは元人間よ。普通にかわいいもの好き。ていうか現代はおいしいものいっぱいあるし」  他にも食べたいよね。ところで綺子ちゃん。 「あのー、最後に一つお願いしても?」 「なに?」 「耳としっぽ、触らせて!」  絢子ちゃんは微妙な表情しながらも、触らせてくれた。 「ふわあああ、ふわふわ、もこもこー!」  キモいもん見た後だと余計に癒されたい。  にしてもかわいいなぁ。妖狐のちっちゃい美少女。うちの子にしたい。 「綺子ちゃんって名前の通り綺麗で羨ましい」 「名付け親は玉藻の前だけど。妖狐→妖の子→綺子って単純な理由よ」 「ええ?」 「東子さんだって、九頭の九郎の嫁だから十→十子→東子にしたって作者が」
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