3.弱い話 後編

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 確かに去年、3歳になったばかりの三男君は、ママ実家で供されたかぼちゃの羊羹をいたく気に入り、手掴みでわしわし食べまくっていた。  和食で育った子供たちには、見慣れない菓子より手作り和菓子の方が好きかも知れない。  それでみたらし団子!  手伝ったのは、あの土井だろ?不味いワケがないじゃないか。  いいなあ、その団子、食べたいなあ。 「……trick or treat 」 「ん? ユキオくん、なんて言ったの?」 「社長、イタズラするぞー。もてなしてよ、社長ン家、初めてお邪魔したんだから。  その南瓜のみたらし、俺にもくれなきゃイタズラするぞー?」  ぷっ!と噴き出した社長は、立ち上がって大きな声で笑い出した。中庭越しにリビングの窓が開き、小さなオバケが顔を出す。 「あっれー? おじちゃん! ユキオくん!なにしてんのお」  廊下の方からバタバタと足音が響き、4歳になったフランケンシュタインが飛びついて来た。 「ユキオくん!一緒にオヤツ食べよ!」  こっちこっちとリビングに引き摺られて、座らされ、人懐こいドラキュラが、俺の分の黄色い串団子を卓上焼き鳥機て炙ってくれた。  程よく焦げた団子にみたらしだれをたっぷりかけて、小さな魔女がこちらに運んで来てくれる。あ、そんな足取りではフカフカの絨毯にタレが落ちそう……と気を揉んでいると、魔女の背後から義兄が手を伸ばし、熱々の団子を取り上げた。         「ユキオ君のおもてなしは俺がしなくちゃね。  リクエスト頂いたんだから」  はい、あーん。と、オッサンに差し出された焼き立てほかほかを、口いっぱいに頬張った。
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