第六章

31/31
539人が本棚に入れています
本棚に追加
/310ページ
 悔し紛れにアディは潤んだ目でテオを見上げる。 「本当のあなたに戻っても、意地悪なところは変わらないのですね」 「これが地だ。慣れろ」  膨れて返事をしないアディの小さな手を、テオはきゅっと握った。 「では、まいりますよ。お嬢様」 「……はい」  まだ少しだけぼんやりしていたアディは、きっとこれからもこうやって彼にからかわれていくのだろうな、という予感をひしひしと感じていた。
/310ページ

最初のコメントを投稿しよう!