プロローグ

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プロローグ

   今から100年ほど先の話。  人類は「新世界秩序:New World Order」という抜本的な社会システムの改革を経て、これまで先人が築いて来た価値観、思想、習慣、ルールを超えた世界での生活をしていた。しかしそこに至るまで穏やかに変革を遂げるなど当然不可能なことであった。数多くの戦争と紛争、災害、疫病蔓延などによる人口激減と言う多くの犠牲の上に成り立ったものであった。  一体、何が変わったのか。どう変わったのか。 「ワン・ワールド」のスローガンのもと、世界の国境が無くなった。国境が無いと言うことは国が存在しないと言うこと。世界は一つになったのだ。この中心を世界政府と銘打った。それは平和を望む者が太古の昔から掲げていた普遍的テーマ。であるからして、聞こえは非常にいい。 〝素晴らしいことである。人類は悲願をついに成し得たのだ!〟  この世界市民の声に当時人々は歓喜したものだ。  しかし現実は全く違う意味合いを持っていた。それは地球の支配層が人類の管理を容易にするために仕掛けた洗脳であった。共通の通貨、共通の言語、共通の法律、共通の宗教に切り替える事が目的なのだ。この「ワン・ワールド」の言葉はカムフラージュとも言えるスローガンだった。
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