2・漂流して来た少女

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「あ!」  声を上げるニックを驚いて見る二人。 「何? どうした?」 「リリカ、さっきの銃どうした?」 「あるよ」  と腕をまわして腰を触るリリカ。 「センサーが反応しなかった!」 「ホントだ。普通、銃なんか持ってバスに乗ると警報が鳴ってバスは自動停止するんだ。おまけに警察が直ぐに来るんだよ」  コウガが説明すると、 「そうなの?」  と無関心に答えるリリカ。 「うん。ちょっと見せてもらえる?」 「ダメだよニック。危ないよ」 「別にいいよ」  とリリカは銃を出すとニックに渡した。 「スゲー、プラズマガンじゃん! 初めて本物見た」 「危ないよ、ニック」 「大丈夫さ。登録した本人じゃないとトリガーが引けない様に出来ているんだ」 「・・・・・・」  リリカは黙っている。それは覚えているようで二人に何の警戒もしていない。 「何この素材。スチールじゃないぜ。だから警察はバスにもそのまま乗って来るんだな。何これ? カーボネイト? グラファイト? 軽いよね」  ニックは興味津津だ。 「へー、安全なら持たせて」  とリリカを挟んでコウガに銃を渡すニック。それを手に取り、 「ふーん。俺達じゃトリガーを引けないんだぁ」  と言いながらトリガーに指を通して引いてみると〝ヒュンッ〟と青い閃光が放たれてバスの天井を貫通した。 「うあっ!!」と思わず声を上げるコウガ。 「ええ?!」とニックは目を丸くする。 「どうして?!」  同じく目を丸くするリリカは素早く銃を取り上げた。 「これ撃てるじゃん!」  二人を見ながら青ざめるコウガ。幸いにして乗客はコウガ達だけだった。次の停留所で大量に人が乗って来る。 「誤作動かな?」  首を傾げるニック。リリカが眉を寄せてコウガを見る。 「コウガは銃を持っていた事があるの?」  何度も首を振り、 「無いよっ。見たのも触ったのも初めてだっ」  と否定するコウガ。 「問題はLTが無いのに撃てた・・・そんな事あるんだな・・・」  ニックが何かを考えながら呟いた。
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